KATO オハネフ12にテールライトスイッチを付ける

3. 工作の詳細

(1)スライドスイッチの本体を作る

まずスライドスイッチの本体となる、プラ材を作ります。

床板のウェイトと集電板の間の隙間に収まるよう、幅0.8mmにしますが、材料はt0.5と0.3プラシートを用い、貼り合わせて作ります。高さはウェイト厚に揃え、1.0mmとします。
※t1.0プラシートを0.8mm幅に切っても良いのですが、プラ材は貼り合わせた方が強度が上がるので、作例では前記の方法にしました。

図1 実際に作るときは、幅を広め(5mmくらい)に切り出した2種の帯板を接着後、改めて幅1mmに切り出すようにすると作り易いです。

切り出したらバリを取り、長さ41mmに切断します。(図1)
 

(2)スライドスイッチのスペーサーを作る

次に、本体にスペーサーを接着します。

図2 t0.5+0.3のプラ材を2.1×2.5mmに切り出し(本体製作時の余りを利用するとよい)、本体の後端部横に接着しますが、このときは上面をツライチに揃えます。下に隙間を空けるのは、床板集電板を逃げるようにするためです。(図2)

接着後、集電板・ウェイトを付けた床板の上に仮に置いてみて、前後にスムーズにスライドすることを確認して下さい。

(3)スライドスイッチのツマミ部分を作る

続いてスイッチを床板下側から操作するための、ツマミ部分を作ります。
t0.3プラシートを2枚、2.5mm幅くらいに切り出し、瞬間接着剤で貼り合わせます。固着後は幅2.3mmくらいに調整しておきます。
※この時点では長いままにしておきます。長さは10mmあればOKです。((5)で本体に接着後、2.5mmに切断します。)

(4)床板にスリット(長孔)を開ける

床板に、スライドスイッチのツマミ部分が通るスリットを開けます。
スリット 位置はデッキ側の端部からおよそ 59.5mm、6mm長で、蓄電池箱とブレーキシリンダーの間になります。
枕木方向の位置はウェイトと集電板の間、裏から見ると縦梁外端に接するあたりです。幅は約0.7mm。

ケガキにはニードル(針)を用い、床板上側から、ウェイトと集電板をガイドにしてケガキ線を入れます。
ケガキ・孔開け後 ケガいたら、外側のケガキ線に沿うようにφ0.6のドリルで連続して孔を開け(→)、デザインナイフでつなげて長孔にします。
その後、断面を滑らかにしながら長さ6mm・幅0.7mmくらいに調整しますが、この際は先に作ったツマミ用のプラ材(t0.3×2帯板)を差し込み、動かして確認すると良いでしょう。

スリット(上から) スリット(下から) スリットの調整が済んだら、バリ等をきれいに取り除いておきます(特に上面)。(→)
 

(5)スライドスイッチのツマミを本体に接着する

ここで、(3)で作ったツマミをスライドスイッチ本体に接着します。
まず床板に、ウェイト・集電板、そしてテールライトユニットを取り付け、スライドスイッチ本体をウェイトと集電板の隙間にはめ込みます。
図3 そして、スライドスイッチ前端がテールライトユニットの通電板後端に1mmほど重なる位置へスライドさせ(図3)、その状態のままスライドスイッチを押さえます。
そのまま床板を裏返し、先に開けたスリットからシャープペンシルの先を入れ、スライドスイッチ下面にスリット前後端の位置を印します。

図4 印を付けたらスライドスイッチを外し、後ろ側の印に合わせてツマミとなるプラ材(t0.3×2・2.3mm幅)を接着します。(図4)
枕木方向の位置は、外寄り(集電板側)の端面に揃えます。
接着は仮止めを微量のプラ用接着剤で行い、その後瞬間接着剤を流すと良いでしょう。

固着後、ツマミの長さが2.5mmになるよう切断し、はみ出した接着剤をきれいに削り取っておきます。
以上が済んだら、再び床板に組み込み、動きを確認しておきます。
 

(6)床板の集電板止めピンを移設する

床板上面に出ている、集電板を止めるピン状のモールドのうち、スライドスイッチ側のものを後方へ移設します。これはこのピンが、これから付けるスライドスイッチの絶縁板に支障するためです。

ピンを移設 移設先の位置は、床板集電板のもう1つの穴の位置で、切り取る前にニードルで印を付けておきます。その後彫刻刀の平刀などでそぎ取り、印のところに瞬間接着剤で接着しておきます。(→)
 

(7)イス板裏側の集電板押さえを削る

集電板押さえを削ったイス板 続いて、イス板(寝台板?)裏側にモールドされている集電板押さえのうち、スライドスイッチ側・テールライトユニット寄りのものを削り取ります。(→)

これも同じく、スライドスイッチの絶縁板に支障するためです。
 

(8)スライドスイッチの絶縁板を作る

スライドスイッチに絶縁板を付けます。この絶縁板がライトユニット通電板と床板集電板の間に入り込み、両者を電気的に絶縁するわけです。

図5 絶縁板を付ける前に、あらかじめ本体の接合部を0.5mmほど切り欠いておきます。(図5)
細いので折らないよう慎重に削って下さい。

つづいて、絶縁板になるt0.3プラシートを3×2.9mmに切り出し、短辺の一方にテーパーを付けます。
図6 これをスライドスイッチ本体に接着します。(図6)

スライドスイッチ完成 接着は瞬間接着剤で行い、固着後ははみ出した接着剤をきれいに削り取っておきます。(→)
 

(9)テールライトユニット通電板の曲がり具合を調整し、絶縁用紙シールを貼る

スイッチを確実に作動させるため、テールライトユニットの通電板を曲げ直します。

通電板の曲げ具合 平ペンチかピンセットを用い、だいたい 画像→ のように曲げますが、スライドスイッチ側のものは絶縁板が引っかからないように、端部がハネ上がる形にしておきます。

紙シール貼り付け後 その後、同じくスライドスイッチ側の通電板裏側に、紙シール(各種メディアのラベルなど)を2×10mmくらいに切って貼り付け、絶縁しておきます。(←)
 

(10)仕上げる

ここまでの加工がすべて済んだら、動作を確認します。

床板に各パーツを組み込み、イス板をはめて、スライドスイッチのツマミが爪先でスムーズに動かせるか、絶縁板が床板集電板とライトユニット通電板の間にしっかり入り込んでいるかをチェック。
ON状態 OFF状態 うまく動作しない場合は、接着剤のはみ出しが無いか、また絶縁板のテーパー角度とライトユニット通電板端の曲げ角度が適切かどうかをチェックしてみてください。

OKなら、台車をビス止めしてボディーにはめ、レール上で通電試験をします。

組み込み後のスイッチツマミ スイッチの動きでテールライトをON-OFF出来ることが確認出来たら、工作は終了です。

※床下に見えるツマミの色が目立って気になる場合は、適宜黒く塗装してください。
 

もどる