MODEMOの旧客をリメイクする

1.車体の分解・塗装剥離および加工

まず再塗装に備えて、分解して塗装を落とします。

この製品は板状のパーツを手作業で組み立てて塗装したもので、窓ガラスも接着によって固定されています。
そのガラスを剥がすため、車体を分解することにしました。
その方法とは、ボディーをうすめ液(クレオスMr.うすめ液)に浸け、接着剤を軟化させるというもの。同時に塗装も落としてしまいます。
うすめ液にしばらく浸けながら接着面に力を加えると、徐々に接着が剥がれてボディーは2分割になりました。

そして問題のガラスを剥がして、跡を平刀で平滑にしておきます。


分解したボディー。(デッキ脇に手すり取り付け済み)
この時気が付いたこと。作業後のうすめ液の色はグレーでした。
どうやら車体は成型色を生かしてツヤを整えるクリアーを吹いただけだったようです。
どうりで茶色が透けた感じに見えたわけだ・・・(苦笑)


下回りも接着されている床板とイス板との間にナイフの刃を入れて外します。


分解した下回りとボディー。
ボディーでは分解ついでにデッキ脇に手すりを付けたりして、軽くディテールアップをしておきます。
また床板では、一部異なっている機器配置を直します。
不要な機器を取り払ってから、開いた穴をプラ板で塞いで、無くなった梁を復元しておきました。


加工済みの床板と、用意した床下機器。
それから足りない機器をGMパーツから持ってきて付けますが、U字断面の水タンクはGMに無いため、仕方なくt0.5プラ板をヒートプレスして作りました。
(この水タンク、キングスホビーから製品化されています。)

床上ではイス板が“上げ底”になっていて、すっきりしない感じなので、プラ板で作り直すことにし、集電も一からやり直します。(詳細は後述)
台車はGMのTR23を集電化加工したものに交換し、やや低すぎる車高を調整することにしました。

その他、デッキ仕切もプラ板で作り直します。


製作中のデッキ仕切(上2枚)。下2枚は同時に作ったGMオハ35系用です。
作り方は、まずタミヤのt0.14プラペーパーに罫書いて窓とその下の凹みを切り抜きます。続いて裏にt0.3板を貼り、もう一度窓を抜きます。そして上に門型のt0.3板を貼り付け、周囲をカットして完成です。

それからボディーに少しディテールを追加して、塗装前の工作は完了です。


塗装前に仮組みしたところ。


デッキ付近を拡大。
デッキ扉脇に手すり(φ0.2洋白線)を付けた他、
幌吊り(φ0.25線+極細プラパイプ)、
アンチクライマー(Pカッターでスジ彫りしたプラ板)、
屋根には銀河のステップ(N-036)
を追加しました。
金属パーツにはプライマーを塗っておきます。

2.塗装・組み立て

塗装はレイルロードのスユニと同時に行いました。


レタリング、クリアー塗装まで済んだところ。
まずボディーは屋根を暗いグレー(調合)に塗装してマスキング、車体にぶどう2号(これも調合)を塗り、乾燥後にレタリングを入れて保護のクリアーを吹きました。
インレタは車番がモデモ付属品、所属と換算はキシャ会社のものを使用。妻面は中間車のため省略しています。


吹き付けの後は筆塗りです。


デッキ内部を塗ったボディーと、別塗りの仕切。
デッキ内部はクレオス【C45】セールカラーに、デッキ仕切は同じくセールカラーとニス色(調合)に塗り分け。
トイレと洗面所の仕切もニス色に筆塗りしておきました。
また室内は車体色をついでに吹いてニス色に見立てています。(要は手抜き)


塗り分けたイス。
イスは座面がt1.0、背ズリがt0.5プラ板より。
スハ32Wルーフ車は背ズリが板張りなので、それぞれ別に塗り分けてから接着しています。


ここまで済んだら組み立てに入ります。


ガラスを貼ったボディーと、デッキ仕切。
ボディーにはt0.2透明PET板のガラスを透明ゴム系接着剤で貼り、デッキ仕切を接着します。

そして、別に加工してあった室内灯を取り付けます。


室内灯と、取り付け準備をしたボディー。
室内灯はTOMIX #0752を常点灯LED化改造したもの(レイルロードのスユニとほぼ同じ)で、これを屋根裏に固定出来るよう、プラ板で固定具を付けました。


取り付け状態。通電板がある側です。
固定方法はビス止めです。
室内灯にプラ帯板の「梁」を付け、そこをビスで止めています。
また、通電板はデッキ仕切の裏側に添わせ、トイレ/洗面所に隠れるようにしました。


反対端のようす。
反対側は屋根のツメに引っ掛けるようにしました。

続いて下回りも組み立てます。


組立中の下回り。
下回りは、まず床板上面に通電板(t0.1燐青銅板より)を乗せる台をt0.5板で作って接着し、その上に通電板を瞬間接着剤で接着。
ウェイトは元のものを1枚だけ用い、端の太くなった部分を糸ノコでカットしてサビ防止に黒く塗装した後、黄色いゴム系で床板上面に接着しました。
そしてその上に、t0.5板で作った“イス板”にさきのイスを接着したものを、ゴム系で軽く接着して固定します。


組み立て前の上回りと下回り。
最後に、上回りと組み合わせれば完成です。


形式写真風に。
車番と配置はスハ32 2037(仙フク)としました。
実車はスハ32Wルーフ車の最後の1両で、1970(昭和45)年まで東北・奥羽線で活躍しました。なんと晩年までEF57に牽かれて上野へ乗り入れていたようです。

通電してみると、イスの背ズリが明るい色のせいか、室内灯が他の32系より明るく見えます。
なお、実車はベンチレーターと明かり窓の面が黒く塗られていたようです。


妻面。
幌はGM製に交換しました。
車体と床下はパステル粉を擦り込んで、軽くウェザリングしています。
この角度から見ると、Wルーフで天井が低いため、デッキ扉の窓から室内灯が見えてしまっています。
中間車のため、普段は気にならないところですが・・・。


床下。
床下機器配置はご覧のようになりました。
35系などと較べると、水タンクのほか水揚空気タンクや弁装置の位置が違っています。また蓄電池箱の隣の配電箱の向きが90度異なっている点も面白いです。


台車付近。
台車はGM製にKATOの車輪とピボット集電板を組み込んだものです。
実は他の車両で使っていたものの再利用なのですが、ちょっと転がりが悪いのが難点です。


このようにMODEMOの客車を加工してみて、ある程度予想してはいましたが、その作業はなかなか大変なものでした。
やはり加工しやすい、キット形態で発売して欲しかったところです。
この旧ナカセイの客車キットは車種のバリエーションが作者の趣味よりちょっと古いのですが、それでもオロ35や36は格下げ改造後の姿にしてみたり、いろいろ楽しめると思いますので、メーカーさんには一度で良いから是非再販をお願いしたいです。

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