工作に先立ち、車体を分解します。
普通の箱形ボディーの車両に比べ、どこから分解するのか分かりにくいのですが、この車両の場合はキャブから分解します。
キャブ側面の、乗務員扉下端の段差下部から、キャブを開くようにします。
キャブ側面上部、屋根端あたりに指の腹を添え、屋根を上に持ち上げるように力を加えると下端が開いてくるので、そこに爪先を入れ、スソを開くようにすれば外れます。キャブはガラスパーツに付いた凹みによって、ダイキャストブロックのツメに止められています。(←画像2)
続いてボンネットを上へ引いて外し、グレーのランボードパーツを両側に開きながら上へ引いて外します。ランボードパーツからは、朱色の細長いパーツも外しておきます。
さらにキャブの窓ガラスを外しますが、先に屋根を外しておく必要があります(屋根のツメが邪魔なため)。
DD51のチャームポイントである、各部の白い手スリを強調するため、一部手スリを真鍮線化します。
まず、キャブの乗務員ドア両脇とその下のものを別付化します。モールドが細いため、色入れするだけでは目立たないのが理由です。
元のモールドの両端部をほんの少し削り、その部分にφ0.3の孔を開けます。(元のモールドは大部分が残る形にしておきます。)
手スリはφ0.25真鍮線を折り曲げて作ります。このとき、微妙に寸法が違っていると、取付後に曲がって見苦しくなるので、いくつか作ってピッタリのものを使用するようにしましょう。
作り終えたら 図3 のように両面テープでボール紙などに順序よく止めておくと、塗装も楽ですし、その後の接着時に“神経衰弱”をしなくても済みます(笑)。
塗装を終え乾燥したら、瞬間接着剤で接着します。固着後、裏側に出た足をニッパーで切断したのち、平ヤスリで平らに仕上げておきます。(←画像3)
続いてボンネット側面上端部も同様に加工します。真鍮線は強度を得るため、やや太いφ0.3を使用します。ちなみに接着時は、あらかじめ足を裏面ギリギリまでカットしてから差し込むと、その後の切断・ヤスリ仕上げが簡単になります。(画像4→)
ランボード端部に一体モールドされた手スリのうち、側端部にある門型のものを真鍮線化します。この手スリ、プラケースに入っている時に無理な力を受けているためか、購入時から内側へ曲がっている場合が多いので、それを直し、再び曲がるのを防ぐのが目的です。
加工は、片エンドずつ行います。元のモールドを、取付部を残して切断したのち、φ0.4の孔を開けます。
その後、φ0.4真鍮線をペンチ等で曲げて新しい手スリを作ります。この時は、残っている他端の手スリを参考にするとやり易いです。折り曲げたら、先ほど開けた孔に差し込み、高さを微調整してから(一旦ボンネットパーツを合わせてみて、実物写真などと比較しながら決めるとなお良い)、接着します。
固着後はヤスリで下端を仕上げておきます。こののち、他端も同様に加工しておきます。
ついでに前端部の手スリも内側のカドを紙ヤスリで削り、断面を丸くしておくと印象が良くなります。
つづいて塗装に移ります。
中性洗剤で油分を落とし、よく水洗して乾燥させた後、マッハのメタルシールプライマーを、裏面以外の全体に塗ります。そして塗ったらすぐに、ドライヤーの熱風で1分ほど強制乾燥させます。(近づけ過ぎると軟質プラが溶けてしまうので注意。)こうすることで、塗膜をより強固に食い付かせることが出来るようです。(科学的な根拠はよく分かりませんが。(^^;))
そのあと各部を塗り分けていきます。作例では、黒(前端部ステップ)→白(手スリ・ステップ表枠・側端ライン)→ねずみ1号(前梁)→黒※(ランボード上面)→朱色4号(前端手スリに付いた板※・側面ランボードの一段高くなっている部分の断面)と塗っていきました。(画像5→)
※ランボード上面は、地域によって朱色の場合もあるようです。(ちなみに、あの青いJR北海道塗装車は青になっています。) また作例では、原色の黒ではなく、茶色を混ぜた色を塗っています。実車の“サビ”や“油”で汚れた感じを表現するためです。
※前端手スリに付いた板は、白になっている車両もあります。
ついでにテールライトレンズにクリアーレッド、ヘッドライトケース(四角くマスキング)・前面ガラスの旋回窓にシルバー、ボンネット継ぎ目ゴム(4本)にエナメル系のライトグレーを差しておきます。また、お好みでルーバーにスミを入れたり、キャブ屋根を黒くススけさせるのも良いですね。
塗料がよく乾燥したら、組立に移ります。
分解したときと逆の順序で組み立てていきますが、取り付けた真鍮線の足が少しでも当たる場合は削り直しておきましょう。無理に組み立てるとパーツが歪んでしまうことがあります。
購入当初から、走行時のスピードが他車より著しく遅い場合、台車の転がりが悪いのが原因になっている可能性があります。この場合、台車内の“押さえ板”(薄い金属板・画像6→)の曲げ角を直すと解消します。
つまり、押さえ板の曲げ角がやや大きい場合、車輪への“押さえ圧”が強過ぎ、回転が渋くなっているので、これをほんの少しきつい角度に曲げ直し (←画像7) 、車輪への抵抗を減らしてやるのです。
ただし、この調整はかなりシビアで、曲げ過ぎると集電が悪くなり、たちまち走行不良になってしまいます。(作例では3回ほど曲げ直しました。) そのためこの調整は、このような作業に慣れた方以外は行わないで下さい。イメージアップしても「走り」が悪くなってはどうしようもありませんから。(^^;)
注意:台車を外すときは、ダイキャストブロックのビスを少し緩めて行います。決して無理に引っぱらない事! ツメが削れてはめ合いがゆるくなり、台車がポロリと取れるようになってしまいます。