KATO オハニ36を仕上げる

1.屋根・室内の加工

加工の前に、共通部品とその本来の使用形式を簡単にまとめておくことにします。

基本構造は一つ前に発売のオハ35系とほぼ同様で、床板はオハフ33、イス板はスハニ32と共通です。
またテールライトカバーとレンズ(オハフ33より間隔が少し広い)、そして台車(スロ62よりカプラー柄が少し短い)は同時発売のオユ12と共通のようです。
つまりオハニ36オリジナルの部品はボディー・屋根のみとなるわけです。

ここではこれらの部品共通化に伴う相違点を直す作業の他、ベンチレーターの別体化や端梁取り付けなどのディテールアップ加工も行うことにします。


それでは加工に入ります。
まずは屋根、ベンチレーターを別体化します。


ベンチレーターを削ったところ。
一体成型のベンチレーターを、平刀で削りました。
穴は埋めずにそのままにします。手抜きです(笑)。


耐水ペーパーで水研ぎ中。
続いて#600の耐水ペーパーの上で水研ぎして、跡を平滑に整えます。
下に敷いているのはガラス板です。


表面を整えた後。
ペーパーを#800>#1000と細かくして表面を整えます。
この際はペーパーを直接手に持ってこすり、屋根の丸みを綺麗に出しますが、端がダレやすいので気を付けて行いました。

次はテールライトカバーを小加工。


仕切を直す前後のテールライトカバー。右が加工後。
カバーに一体成型されている仕切はオユ12の位置になっていますので、削り取ってプラ板で後方へ付け直します(右)。


上から。上が加工後。
真上から見ると、ご覧の位置になります。
ちなみにこのプラ、普通に接着や塗装が出来る材質のようです。

ここまで済んだら、屋根とイス板を塗装します。


青を吹き付けたイス板。手前がオハニ36用、奥2枚はついでのスハ43系用。
イス板は、まずイスのある部分をGM【16】青20号+フラットベースで吹付塗装します。
その後、各部を筆塗りしました。
なお、詳細はスハ43系と同様ですので、そちらを参照してください。

また、屋根は自家調合の濃いグレーを塗装。
ベンチレーターは当方標準のGM No70-5、つや消し黒に塗りました。
(実はスユニ60に当初付けてあったものの再利用です。)


屋根・イス板を組み込んだところ。
塗装後は、いったん組み立てて走れるようにしておきました。
(右はついでのスハ43系です。)
以下、床下とボディーの加工はしばらく間を空けて行っています。

2.床下機器撤去・台枠新設

このオハニ36の床板はオハフ33と共通部品になっているために機器配置が少し異なるので、それを直します。
とは言っても一体成型ですので、元の機器を取り払うのにひと苦労なのですが・・・。

そもそもこのオハニ36では機器配置の他、「鋼体化客車」であるために台枠からして違いますので、今回思い切って全部撤去(!)して一から付け直すことにしました。


糸ノコで機器をカット中。
そう思い立ったが早いか、糸ノコを取り出して片っ端から機器を削ぎ取っていきました。
以前同じ様な工作をマニ60で行ったことがあるのですが、その時使ったレザーソーよりずっと楽に切れました。所要時間は3分あまり。
ただ、摩擦熱でちょっと断面が溶けましたけど・・・


中目のヤスリで削った後。
糸ノコの後は中目の金工ヤスリ(右下)で、豪快にガリガリとヤスりました。
後で判るのですが、ちょっと豪快過ぎました(苦笑)。


穴を塞いで細目ヤスリで削っているところ。
モールドが“皮一枚”残ったところで、機器部分に開いた穴をt0.5プラシートと瞬間接着剤で埋めてから、今度は細目の平ヤスリでシャリシャリ削りました。


下にあてがった「当て木」。
その際、上面のツメが一つ折れかかったので、適当な木材で当て木を作ってやりました。
思うに、最初から面倒がらずに作っておけば良かったわけですが・・・。ま、今度は気を付けましょう。<おぃ


削り終えたところ。
スイッチ穴付近など、わずかに出っ張っている部分がありましたが、構わず平滑にしてしまいました。
問題は無いみたいです。

次は、豪快な加工の“つじつま合わせ”、サーフェイサー修整です。
加工部分全体にサーフェイサー(#1000)を塗り、乾燥後にペーパーをかけます。


サーフェイサー仕上げ中。
一回では端が埋めきれなかったので、セロハンテープで「堤防」を作ってもう一度流しました(下)。
なお、固化後の削整に用いたのは、t2塩ビ板の帯板に#600の耐水ペーパーを貼り付けた自作の簡易ヤスリです。それで水研ぎしました。
また仕上げは#800です。


平滑になったところで、梁を新製します。


取り付け中の中梁。
まずは中梁を付けました。
1x0.7mmのプラ角棒(自家切り出し)を、タミヤのさらさらタイプ接着剤(緑キャップ)で接着。


横梁も付けたところ。
続いて横梁を同じ材料で付けました。
なお、寸法はリトルジャパンの61系のコピーです。
ノギスで測って完全コピー。(笑)


さらに接合部の補強を付けたところ。
それから横梁の端を斜めにヤスり落とし、接合部分の補強板を付けました(画像下)。


両端に付けた端梁のベース。
また、床板両端部はボディーとピッタリ合うようプラ材で調整。端梁ベース板も付けてあります。

3.車体のディテール加工

ボディーの加工です。
こちらは単純で、手すり他のディテール立体化と妻面下の切り欠き修整のみです。


妻面加工のようす。
まず妻面のステップ(コの字の手すり)・幌吊りを削り、それぞれφ0.3の孔を開け、下端の切り欠きをt0.5板で埋めて平滑に整えます。
客室側(右)のダミーのテールライトもついでに孔(φ1.0)を開け、レンズを入れられるようにしておきました。

次に手すりを植えます。
車掌室側妻面のステップ(線材)はφ0.2真鍮線、デッキ扉脇はφ0.2洋白線から作ったものです。


デッキ脇の手すりの位置を決めているところ。
作者の場合、まず治具で作った手すりに合わせて、車体へ孔を開けています。
通常とは反対になりますかね・・・。

手順としては、まず画像のように1ヶ所で位置を決めたら、下の孔位置をコンパスで写し取って他へコピー。
そして上の孔は、デバイダーで治具の寸法を写し取って、先に印を付けた下の孔を基準に印します。
最後にニードルを用い、デバイダーで付けた上下の印をしっかりマークし直して、孔開け準備完了です。

つまり、治具を作った以後は、定規とかノギスの類を一切使わないわけです。

それから孔(φ0.3)を開け、治具で曲げた手すりを接着します。


φ0.2洋白線の手すり接着後。
中央寄りのものは瞬間接着剤で裏から、車端寄りは黄色いゴム系接着剤で表から接着。
もちろん生乾きの時に楊枝の先ではみ出した分を綺麗にしておきます。


ディテールを付け終わったところ。
他のディテールも付けていきます。
妻面下の足掛け(板材)は、t0.2透明プラ板です。
また、荷物扉の取っ手のうち、コの字のものも付け直しておきました。
これ、実物は意外に立体感があるんです。
いっぽうL字の取っ手はモールドのままとしました。意外と数が多いので・・・。
それから、幌吊り(φ0.25線+極細プラパイプ)は破損しやすいので、塗装直前に付けます。

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