2006年4月にリニューアル発売されたKATOのNゲージスハ43系。当サイトでは発売後にレビュー記事を公開しましたが、その中のそこかしこに「リアルな色に塗り直して・・・」という記述があるのにお気付きでしたでしょうか。
作者は、その記述を現実のものとすべく(?)、この新スハ43系のイメージアップを試みました。目的は、作者の手元に多数ある、GM等キット組立車と編成を組んでも違和感が感じられないようにするためです。
加工内容は塗装が中心の簡単なもので、改めてページを作るほどではないのですが、同じように手を入れたいとお考えの皆さんにもご参考になるのではと考え、以下に工作内容をご紹介することにしました。
この加工、のんびり屋の作者にしては手を着けるまでの期間が短かったのですが(実はレビュー用の画像を撮った翌日に着工)、その理由は、どうにもあの“黄土色の室内”がガマンならなかったからです。だってあれじゃ、まるでオハ61・・・(苦笑)
工作は前述の通り簡単なもので、屋根・イス板の塗装、細部の色差しと、それに伴う一部ディテールの追加のみです。
加工点を箇条書きにすると、
・事前加工
スハフ屋根端手スリ別付け化、イス板に背ズリ追加
・屋根板、ベンチレーターの吹付塗装
屋根板:屋根色(調合)、ベンチレーター:黒
・イス板の塗装・色入れ
モケット:青20号、イス枠:ニス色(調合)/ねずみ1号、仕切:ニス色(調合)/ベージュ、床:ダークグレー[エナメル]
・ボディー細部の色差し
ドア下ステップ:黒、ドア取っ手:ゴールド、貫通幌の布部:ダークグレー
※塗料は特記以外Mr.カラーまたはGMカラー。
となります。
また、加工手順は以下のようになります。
a.事前加工
スハフ屋根端の手スリ削除、エッチングパーツ(TAVASA:1mm幅ひげ付)取付
スハフのイス板に背ズリ(t0.2プラシート)4枚追加
b.吹付塗装
屋根板、ベンチレーター、イス板のモケット部
c.筆塗り
各部
詳細は次項の 2.工作の詳細 をご覧ください。
注意 この配色は一般的な東北地区配置車をモデルにしたものです。 (参考にしたのは晩年の福島客貨車区配置車です。) 全国的に見るとこのタイプが多数派のようですが、地域(担当工場)や時代によって色が異なりますので、他の地域・時代の姿に仕上げる場合は事前に調査が必要です。どのタイプにするか、あらかじめイメージ(線区・担当区・年代)を固めておくと良いでしょう。 具体的には、ベンチレーター(グレー)・幌枠(グレー)・渡り板(グレー)・ドア下ステップ(車体色/グレー)などを確認。 |
加工の詳細を、画像を交えて説明します。
a.事前加工
スハフ屋根端手スリの立体化は、いわゆる定番の加工です。
元のモールドを削り取ってからφ0.3孔をあけ、TAVASAのひげ付手すりを接着後、プライマーを筆差ししておきます。そして屋根を塗装した後に、ねずみ1号に筆塗りします。
また、同じくスハフの背ズリ追加についてですが、これはイス板の仕切寄りのイスだけ背ズリが省略されているためです。ここでひと手間かけて背ズリ(t0.2プラシート)を加えておくと、後で各パーツの塗り分けがしやすくなります。
b.吹付塗装
屋根・ベンチレーター・イス板をそれぞれ吹付塗装します。
なお、イス板は仕切から外寄りをマスキングしてモケット色の青20号が付かないようにしておくと、仕切を筆塗りする際に下の青が浮き出すことなく楽に作業出来ます。
c.筆塗り
各部を筆で塗り分けていきますが、筆は各部位に合わせ、いろいろなサイズのものを使い分けると良いでしょう。
詳細は画像を参照してください。
ボディー・屋根 | |
屋根(屋根色*調合)吹付 ベンチレーター(つや消し黒)吹付 屋根端手スリ(ねずみ1号) ドア取っ手(ゴールド) ドア下ステップ(つや消し黒) 貫通幌布部(ダークグレー) |
イス板(番号は塗装順序を示す) | |
原形 |
近代化改造車 |
1.モケット(青20号)吹付 2.イス台(ねずみ1号) 3.デッキ仕切(セールカラー) 4.仕切・イス枠(ニス色*調合) 5.床([エナメル]ダークグレー) |
1.モケット(青20号)吹付 2.イス枠(ねずみ1号) 3.仕切(セールカラー) 4.床([エナメル]ダークグレー) |
イス板塗装時のポイントは、モケット部を最初に吹付塗装し、床をタミヤエナメルで最後に筆塗りすることです。そうすると他の色が床にはみ出しても一向に構わずに作業出来ます。加えて、床面なら平らなので、面積が多少広くても、デコボコしたイスより比較的短時間で塗り進めることが出来るわけです。(ただしスハフの床は起伏が激しいため、やや塗りにくいです。)
加工後は、是非とも室内灯を付けておくことをおすすめします。これ無しでは、せっかく色入れした室内がちっとも目立ってくれませんので(^^;)。
ちなみに最近の模型では、LEDを用いて茶色の車両は白熱灯(電球色、または白色+フィルター)、ブルー車両は蛍光灯(白色)とする場合が多いようですが、実車は後年茶色でもほとんどが蛍光灯化されていましたので、一部をそんな姿に仕立てるのも面白いかもしれません。
なお作例では、例のごん氏開発によるLEDユニットを自作して付けています。コンデンサー付で、停車中からフル点灯可能な優れた設計です。(しかも安価!)
興味のある方はリンクのページからどうぞ。
旧形客車の魅力は“渋さ”である、というのが作者の持論です。最近細密化が進んでいるとはいえ、未加工の完成品はどうにも色合いが明るくて、綺麗すぎるように感じます。そのため、この新スハ43系も、加工が済んでようやく本来の姿になったような印象です。
ただ逆に言うと、最近の新製品でもモデラーの腕を見せる領域が残されている、と捉えることも出来るわけです。作者のような工作好きのファンも、まだまだ工作の喜びを味わことが出来る──と考えると、面倒な作業も少しは楽に進められる・・・かもしれません(笑)。
実を言うともう少し加工したい点があるのですが、とりあえず今の段階では上の工程までで一区切りとしました。のちに追加加工が済みましたら、ここに追記しようと思っています。
・・・いつになるのかは解りませんけど。<おぃ