リトルジャパン スユニ61キットを組む

1.側板の加工

まず手始めに、オハニ61改造車2111番の荷物扉を加工します。

実車ではこの木製の荷物扉には、上部の凹みが無い車両がほとんどで、2111番も該当しているのです。
そこで、キットの凹みを薄プラ板で埋めてしまいます。


左:プラシートをはめ込んだ状態。
材料にはt0.2プラシートを用い、接着は微量のプラ用流し込みタイプで行います。


左が仕上げ後。
そして固化後にサーフェイサー(クレオス Mr.サーフェイサー1000)を塗り、隙間を埋めます。
これが十分に乾いたら、平刀で削ってから#800の耐水ペーパーで水研ぎして仕上げます。


続いて、側面の平面の乱れを平滑に直しておきます。
主に窓まわりに付いている、凸状のわずかな突起を削る作業です。


左:未加工、右:削整後。
加工には、角材に耐水ペーパーを貼った簡易ヤスリを用いました。
ペーパーは#800と1000を使い、水を付けて丁寧に整えていきます。


次は端部に手すりの孔を開けます。


左:孔開け後、右:印を付けた状態。
荷物室(デッキ)側はデッキ脇の縦方向の手すりで、ピッチは4.5mm。孔はφ0.3です。
位置出しは、コンパスとデバイダーを用いると、簡単・正確に出来ます(スハニ37の記事参照)。


裏面の様子。左はマークを付けた状態。
裏側の様子。
ニードルでマークを付けてからドリルを当てるのですが、マークを付ける際、車端側はもう少しで突き破りそうになりました。
ここは板厚が極端に薄くなっているので、要注意です。


郵便室側の手すり部分。
いっぽう、郵便室(非デッキ)側は小さい横方向の手すりが2本モールドされているので、これを削って孔を開けておきます。

その他、北海道用の500番台のうち、505〜516番に仕立てる場合は1か所郵便室の細窓(押印台部分)を埋めておく必要があります。
窓枠を削ってからt1.0か0.5のプラ板をはめ込んで接着し、継目を平滑に仕上げれば良いです。

2.荷物・車掌室扉の交換(スユニ61 2116)

※この荷物・車掌室扉の交換作業は、スユニ61では2116番のみ該当する工作になります。
 それ以外の車両に仕立てる場合には不要な工作ですので、その場合は次の3.側板のディテール追加へお進み下さい。


まず、扉の形態について説明しておきます。
スユニ61の側面扉は郵便室のみ鋼製で窓が大きいタイプ、それ以外は木製が基本です。
(スロフ53が種車の300番台はすべて鋼製ですが、窓・扉配置が異なるので割愛)

しかし、2116番はオハユニ61でも後期車が種車になっているためか、荷物・車掌室扉が鋼製になっています。
形態的には他形式のオハニ36に付いている扉と同じです。


KATOのオハニ36の荷物・車掌室扉。


高崎の実車、オハニ3611。1996年撮影。
この、凹みが無く、窓位置が若干異なる形態を再現するため、元の扉をくり抜いてしまいます。


くり抜き作業中。
くり抜きにはφ0.8のドリルを用いました。
画像のように連続して孔を開け、デザインナイフでつなげてくり抜きます。


左が仕上げ後。
そして同じくナイフでだいたい削り落としたのち、棒ヤスリで仕上げました。
最後に角をナイフでかっちりとさせれば完了です。


荷物扉のくり抜き中。
荷物扉も同様にくり抜きます。
こちらは上部の角にRがついていますので、ここだけ丸ヤスリを用いています。


扉をくり抜いた状態。
裏面では、周囲の突起を残します。
新しい扉をはめる際、これを基準にするためです。


続いて新しい扉をはめますが、ここではプラ板で自作することにしました。
エッチングパーツがあれば、それを用いても良いでしょう。


プラ板に罫書いたところ。上が窓枠、下はその上に貼る本体。
まず罫書きます。
罫書きには短いステンレス定規(15cm)と三角定規、芯先を細く削ったシャープペンシル(0.5mm、芯はB)を用いています。
また材料はt0.2透明プラ板とt0.3白色プラ板で、2枚重ねて窓枠を表現します。
通常はこんな細帯を使う必要は無く、もっと大きな板を材料にすると良いです(苦笑)。


窓抜き中。
罫書きが済んだらデザインナイフで窓を抜きます。
ナイフの刃は刃先30°のものが使いやすいと思います。
ちなみに切り抜きの際は、一旦仕上げ線より0.3mmほど内側をくり抜いてから、改めて仕上げ線で切っています。
一度に切り抜くと「カエリ」が出易く、かつ切りにくいからです。

また、下に敷いているのはポリプロピレンのシートです。
実は背中がダメになったレバーファイルの再利用なのですが、通常のカッターマットより硬めで材料が凹みにくく、このような細かい切り抜きには向いています。


窓枠の窓抜き中。
こちらは2枚目(t0.3)、窓枠を抜きます。
この扉は真ん中に窓桟が付くため、窓穴が小さくてやりにくいのですが、刃先を立てるようにして、同じく2回に分けて抜いています。


窓抜きを終えた後。
切り抜いたら、細棒にペーパーを貼った簡易ヤスリやデザインナイフで窓穴を整えます。
そして荷物扉の1枚目、中央の合わせ目にPカッターで溝を掘ってから、外周を切り抜きます。


窓枠と本体を貼り付けているところ。
続いて2枚目(白い方)はひとまず外周より一回り大きく切り分け、接着用にφ0.5孔を開けます。
その後、1枚目とともにペーパー上でこすってカエリを取ってから、プラ用流し込み接着剤で両者を接着します。


車掌室扉の貼り合わせ前後。
車掌室扉も同様に加工します。


周囲を穴に合わせているところ。
そして完全に固着したところで、周囲を切り落とし、側板の穴に合わせて仕上げます。
周囲に隙間が開くと仕上がりが見苦しくなるので、ちょっとずつ慎重に作業しました。


続いて接着の準備をします。


裏板を貼る前後の荷物扉と、仮にはめ込んでみた車掌室扉。
画像のように裏面上下に薄プラ板を貼り足します。
荷物扉はt0.13、車掌室扉はt0.2を用いました。

この面を側板裏の凸部分とツライチに合わせることで、深さを揃えようというわけです。


扉に取っ手を接着しているところ。
それから接着前に、取っ手を付けておくことにしました。
φ0.2線を曲げ、φ0.3孔を開けて接着し、裏側を整えておきました。


扉を接着したところ。
そして接着します。
まずプラ用を流してから、瞬間接着剤を流し、固化後に余分を削り取っておきます。


荷擦り棒を付けているところ。
最後にディテールを追加。
荷物扉の窓下に付く、横向きの棒(荷摺り棒)です。φ0.2程度のランナー引伸し線を微量のプラ用で付けました。


交換していない側板(上)と比較。
扉を交換しなかったものと比較すると、荷物扉の窓が若干低いのに対し、車掌室扉の窓は若干高いのが判りますでしょうか。

以上で扉の交換作業は完了です。
なお、エッチング扉を用いる場合も、同様にくり抜いた穴に周囲を合わせてはめ込むのが良いと思います。その際はそのまま接着するのではなく、下に薄プラ板をはめ込んでおき、そこへ落とし込むように取り付けると強度も確保出来て良いでしょう。

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