リトルジャパン スユニ61キットを組む

7.台車・カプラー位置の調整

ここから下回りの工作に入ります。

まず床板と、その上に乗るイス板を切り出します。


床板とイス板。上:2111番、下:2116番用。
画像上はブレーキ引棒が途切れていないオハユニ61キットの床板で、オハニ61改造の2111番にはこれを用いることにします。
理由は、オハニ61 0番台改造車は水タンクの位置がキットの指示と異なるためです。(詳細は後述します)


とりあえずこれらと台車を付属のビスで仮組みし、ボディーと合わせてみます。


レールに載せた状態。下左はKATOの旧オハ47。
台車は2両ともKATOのTR23(5127-1D)、KATOカプラーNを付けてレールに載せてみました。
画像を見ると、カプラーがずいぶん飛び出してしまうのがお解り頂けると思います。

これは台車中心間がKATOのスハ43等より長く、かつ車体が少し短いために起こる現象で、このキットが実物のわずかな差異を的確に再現しているが故に生じる問題なのです。
ちょっと後に出たTOMIX製品などでは省略されている、台枠流用の61系ならではの特徴を忠実に模型化した点は、マニアの目からするとこだわりが感じられて良いかな、と感心する面もあります。
しかし、このキットでは台車に市販の他社製品を用いるため、結果的にカプラーが飛び出てしまうのです。
このままでは編成を組んだときにこの車両の前後のみが不自然に拡がってしまっておかしいので、これから対策を施します。


台車付近をカットした床板。
まず台車中心間を少し詰めるため、レザーソーで床板の台車付近を2か所カットします。
そして断面を0.5mmずつ詰め、セロハンテープで仮組みして、未加工車と比較してみました。


上:KATO旧スハ43、中:切り詰めた床板、下:未加工の床板。
上のKATOのスハ43旧製品と比較すると、まだ台車中心間は1mmほど長くなっています。
その一方で、車体は1mmほど短いため、このままではまだカプラーが1mmほど飛び出てしまいます。


切り詰めた床板を付けた状態。
0.5mmずつ中心に寄ったものの、台車位置はまだスハ43より外寄りで、一応61系らしいイメージを残しています。
しかし、まだカプラーが出過ぎています。連結面間隔も広めで気になるレベルです。

台車中心間をこれ以上詰めると61系らしさが無くなってしまうと判断し、あとはカプラー腕を切り詰めることにしました。


台車のカプラー腕をカットしたところ。
下に当て木をし、デザインナイフでカプラー腕をカットします。
力が要るのでケガに注意。


加工後のカプラー腕。
そして断面を0.5mmほど削って詰めてから、車軸に当たる部分を丸ヤスリで削ります。


接合準備が出来た台車枠とカプラー腕。
接合には真鍮線を植え込むことにしました。
φ0.4を2本、孔もφ0.4にし、真鍮線にペーパーを掛けて摩擦を効かせるようにし、断面にゴム系接着剤を付けて平ペンチで押し込んで接合します。


接合後の状態。
ポイントは2か所ずつの孔を正確に開ける点です。
作例ではノギスで罫書きましたが、孔開け時に若干ズレてしまったようで、わずかに曲がってしまっています(汗)


加工前後の状態。
短縮量はご覧の通り。


同じく裏面の様子。
裏面を見ると、車軸がスレスレです。
万一車軸が干渉してしまう場合は、いっそのこと車軸の方を削ってしまう方が手っ取り早いかもしれません。

これで再び車体と組んでみると・・・


床板短縮・カプラー腕切り詰め後。
まだ少し長い感じもしますが、許容範囲に収まったと思います。
もしこれでも不満なときは、床板の方をもう少し削って調整すると良いでしょう。


さて、台車位置が決まったので、床板を接合します。


接合前後の床板。
接合部分の上面にリブが4本通っていますが、このうち2本を2mmほど削り、プラ板を渡すように接着することにしました。
強度をアップさせるためです。


接合時のようす。
位置合わせは画像のように、ガラス板上で定規を当てて行いました。
接着にはプラ用と瞬間を併用しています。

そして同様に、台車位置が決まっているイス板も切り詰めます。


切り詰め後のイス板。
こちらの切り継ぎ位置は中央付近、トイレ/洗面所の部分としました。
台車中心ビスの所に少しガタがあるので、現物合わせよりも実測で合わせた方が正確に仕上がると思います。
(作例ではそれに気付かず、2枚で微妙に違ってしまいました(苦笑))

固着したら、はみ出した接着剤などをきれいに除去しておきます。

8.床板端部の隙間埋め


切り詰め加工後の床板をボディーにはめてみたところ。
台車中心間を切り詰めたため、床板の前後に隙間が出来ますので、それをプラ材で埋めます。


切り欠きを埋めたところ。上:郵便室側、下:車掌室側。
まず、左右と端部の切り欠きをt1.0プラ板で埋めます。
接着には瞬間を用いています。


端にt0.5板を足したところ。
続いてデッキ部分の切り欠きを現物合わせで付け直し、両端部にt0.5板を貼って延長します。
このとき、中央部分に切り欠きを設け、貫通幌のツメを逃げるようにします。


さらにt0.3板を貼り足した状態。
さらに端部にt0.3板を貼り足しますが、これは幅広にし、下面より1mmほど下へ出るように接着します。
あとでここに端梁を付ける際の“接着ベース”にするためです。


ボディーと合わせた状態。
ご覧のように、隙間が無くなりました。
これには室内灯やテールライトの光が下へ漏れないようにする意味があります。

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